ここ数年、ほかの地域から日本に入ってきた「マダラコウラナメクジ」と呼ばれるヒョウ柄の巨大ナメクジに対して、ナメクジ研究者として知られる京都大学の宇高助教が事例研究のため「ナメクジ捜査網」を敷いていると話題です。
ナメクジといえば、カタツムリと並び、子供の頃から馴染みある生き物だと思いますが、実は意外と危険な生物だということがわかりました。しかも、ナメクジと遊ぶ子供だけではなく、大人にも危険が及ぶ可能性があるのだとか・・・。
ということで、今日はナメクジにはどんな危険があるのか紹介してみたいと思います。
サクッと流し読み
ナメクジは「広東住血線虫」というキケンな寄生虫の宿主
結論からいうと、実はナメクジは「広東住血線虫」というキケンな寄生虫の中間宿主になることがあるのです。ナメクジだけではなく、アフリカマイマイというカタツムリやカエル、淡水で産まれたエビなんかも宿主になるのだとか。
ナメクジは、よくスーパーなどで購入したサラダに入っている葉っぱに付いていたりしますよね。野菜を栽培している方からすると、野菜に虫などが付いているのは当たり前なのかもしれませんが、気付かずにうっかり食べてしまうかもしれませんよね。
「広東住血線虫」の成虫はそもそもドブネズミなどに寄生する体長約20センチの線虫。
その線虫の卵が糞としてネズミなどの体内から外界に出たあと、中間宿主の体内に入ることで感染幼虫に成長します。
この感染幼虫を体内にもった中間宿主、つまりナメクジなどを私達が食べてしまうと、脳の血管や髄液なんかに寄生し、『好酸球性髄膜脳炎』が起こります。
『髄膜脳炎』の具体的な症状は激しい頭痛や顔面麻痺、昏睡など
『好酸球性髄膜脳炎』とは、好酸球という白血球が急激に増えるために起こる脳の炎症で、同時に脳と脊髄を包んでいる膜脳の炎症も起こります。
『好酸球性髄膜脳炎』が起こったときは、「広東住血線虫」によるものだけではなく、鯖(さば)やサンマなどで有名なアニサキス科の線虫によるものやザリガニなどで知られる肺吸虫によるもの、ネズミや犬、猫から子供に感染することがあるサナダムシなどの条虫によるものなど、主に寄生虫による疾患が疑われます。
まず、髄膜炎の具体的な症状はというと、その中心となる症状は長く続く激しい頭痛。
そして脳炎の具体的な症状は、発熱や痙攣(けいれん)、意識障害など。
これら、髄膜炎と脳炎の症状が合わさって起こるのが髄膜脳炎の症状で、場合によっては顔面麻痺や四肢麻痺、昏睡といった症状が起こることもあるため、症状に気付いた場合には、早めに医療機関の受診をした方が良いと言われています。
予防は「生野菜をよく洗う」そしてナメクジに触れたら「よく手を洗う」
ナメクジを生で食べるということはあまりないと思いますが、旅行先などで料理として出てきた場合もあると思います。
そのような場合、調理の際に火が通っていれば安全と言われていますが、もし不安ならできるだけ食べない方がよいでしょう。
また、前述のとおりスーパーで購入したサラダのレタスやキャベツなどの葉っぱにはナメクジが付いていることも考えられますので、そういった生野菜はよく洗って食べるようにしたいですね。
さらに、大人の場合は少ないのかもしれませんが、子供はどうしてもナメクジやカエルなどがいると触ってしまいます。感染症予防のためにも、外から帰ってきたときや外出時に何か食べるときなど、その前によく手を洗うようにしましょう。
まとめ:被害は多くはないけどゼロではありません。死亡した例もあり。
今回はナメクジの意外なキケンについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「広東住血線虫」により感染したという例はあまり多くないものの、沖縄で当時7歳だった女の子が死亡してしまったという例もあるので、軽く考えることはできません。
予防方法はこれといって難しいものではなく、日頃からよく言われているものです。簡単にできることほど疎かにしてしまいがちですが、ぜひ習慣にしていきたいですね。
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