大体5月頃から沖縄ではじまり、その後日本の大部分で見られる、夏になる前の曇りや雨が多い期間といえば?
・・・そう、あなたもよくご存知の梅雨(つゆ、ばいう)です。
ジメジメして、気持ちもなんとなく憂鬱になるような、そんな季節が今年もやってきましたね。
梅雨は、北海道と小笠原諸島をのぞく日本で見られるもので、春から夏に季節が変わる過程で雨が多くなる期間のこと。梅雨入りと梅雨明けには、平均すると5日程度の移り変わりの期間がありますが、平年だと最も早い沖縄では5月の上旬から梅雨入りとなり、最も遅い東北北部で7月下旬に梅雨が明けるまで、日本各地でジメジメした期間を過ごすことになります。
ちなみに、北海道に梅雨はないと言われますが、道民の間では「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼ばれる、雨の日なんとなく多い期間が一応あるんですよ。実際、本当の梅雨と比べると、そんなにジメジメすることもないので、本格的な梅雨とは言えないのかもしれませんが・・・。
ということで、今回は梅雨(つゆ・ばいう)は、なぜそう呼ばれるようになったのか?そして、なんで「梅」という字がつくの?といった、梅雨に関するギモンについて調べてみましたので、紹介したいと思います。
「梅雨」という言葉の由来は「露」と「潰ゆ」という2つの説がある
春から夏への「移り変わり」の期間。それをなぜ梅雨と言うのでしょうか?
「五月雨を あつめてはやし 最上川」
五月雨というと、有名な芭蕉の句が浮かびますが、これは長い雨が降り続いて水嵩の増した最上川のことを詠んでいるものです。
梅雨の時期のことを、昔の日本では五月雨(さみだれ・さつきあめ)と呼んでいたようですが、それが江戸時代になって「つゆ」と言われるようになっていったのだそうです。
そこで、江戸時代に「つゆ」と言われるようになった由来を調べてみたところ、諸説ありましたが、主なものは次の2つのようです。
- 『露』が木の葉に付くところから「つゆ」と言われるようになった。
- 『潰ゆ』という言葉から派生し、「つゆ」と言われるようになった。
1つめの由来は、なんとなくイメージできますが、2つめの由来は、イマイチ分かりませんね。
そのため、2つめの由来についてもう少し詳しく説明しておくと、『潰ゆ』とは「潰れる」とか「破れる」という意味で、「長雨によるカビで食べ物がダメになってしまうこと」や「食べ物が潰えて(ついえて)しまうこと」を指すのだそう。
そこから、五月雨が『潰ゆ』という言葉につながり、「つゆ」と言われるようになっていったということのようです。
なんとなく伝わりましたでしょうか・・・?
ただ、これらはすべて仮説であって、まだ定説と決まったものはないようでした。
梅雨(つゆ)にはどうして「梅」という字が使われているのか
では、その「つゆ」に、なぜ”梅”という字が使われることになったのでしょうか。
もともと、中国では長雨のことを「バイウ」と呼んでいたそうです。
「バイウ」を漢字で書くと『黴雨』。『黴(バイ)』は「カビ」のことです。長雨でカビが生え、食べ物や布類がだめになってしまうところから、カビという漢字を使って黴雨(バイウ)と呼んでいたのですね。
そして中国から、『黴雨』という言葉が日本に伝わることとなりましたが、その伝わったときに『黴』という漢字では風情がないという理由により、当時の日本人が『梅』という漢字をあてたということのようです。
また、その後、その「梅雨」という言葉が日本で長雨を意味していた「つゆ」という言葉と結びつき、現在に至っているのだそうです。
「風情」は日本に昔から存在する美意識と言われていますが、「心で感じる」ことを重んじるところが、とても素敵ですよね。
まとめ:あなたも「梅雨」の時期を少しは好きになりませんか?
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
長々と続く雨の季節。ボクたちにとっては、カビが気になる季節ですが、作物や動物にとっては恵みの雨でもあります。
ボクは案外、梅雨の時期が好きなんですが、あなたはいかがですか?
「梅雨」という言葉の由来を考えると、”梅”という漢字を使った日本の先達の美意識に感謝したくなるとともに、いままで嫌なイメージを持っていた「梅雨」を少しだけ好きになったのではないでしょうか?
「梅雨」の時期は、しばらく続く雨に気分も沈みがちになりますが、ちょっとだけ昔のことに思いを馳せ、「梅雨」という言葉の成り立ちについて、ご家族や友人と話しながらこの時期を過ごしてみるのも、一興かもしれませんね。
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